上記の財団法人が年4回発行していた広報誌の表紙です。
毎回特集記事で紹介される土地をモチーフとしていますが、
ただその土地をイラスト化しても面白くないので「百年後の世界」として表現してあります。
おまけにイラストに合わせたショートストーリーも書かせてもらったりと、かなり自由度の高いお仕事でした。
以下は当時裏表紙に掲載されたショートストーリーの全文です。
「百年後のニッポン No.008 AWA CARNIVAL (徳島県)」
今から100年ちょっとの昔、日本では熱狂的な祭りが全国規模で繰り広げられていた。
それは子供よりは大人の、貧しい者よりは富める者たちの為の祭りだった。
祭りは何年も休むことなく続きながら規模を拡大していき、ついに瞬間的にその終焉を迎えた。
祭りのあと、人々は呆けたように立ち尽くした。貧しくなっていたからだ。
祭りの名はバブル、長い不況の引き金だった。
それ以来バブル=泡=阿波という言葉の連想により、阿波踊りは理不尽にも日本人から嫌われるようになった。
徳島の人々はこの悪いイメージを払拭すべくありとあらゆる努力を試みたが失敗に終った。
彼らは最後の手段として阿波踊りをAWA CARNIVALと改名した。
そして21世紀の今、この祭りは日本人よりも世界の人々に親しまれる祭りへと飛躍していったのである。