まちづくりN0.17 1996年 財団法人区画整理促進機構 刊

上記の財団法人が年4回発行していた広報誌の表紙です。
毎回特集記事で紹介される土地をモチーフとしていますが、
ただその土地をイラスト化しても面白くないので「百年後の世界」として表現してあります。
おまけにイラストに合わせたショートストーリーも書かせてもらったりと、かなり自由度の高いお仕事でした。
以下は当時裏表紙に掲載されたショートストーリーの全文です。

「百年後のニッポン No.001 DEGIMA(長崎県 出島)」
まだ日本が鎖国政策をとっていた江戸時代、長崎の出島は海外との貿易を例外的に許可された土地であった。
ここは海外に向かって開かれた扉であり、また外の世界を知る為の窓でもあった。
時は下って21世紀。DEGIMAと改められたこの人工の小島は外国ではなく宇宙を相手にした一大貿易港として世界に名を馳せている。
かつて港には数々の帆船が停泊し街中に青い目をした異国の商人が往来していたが、
現在は色々なタイプの宇宙船がそれに取って代わり通りには赤い皮膚をした宇宙からの客人が歩く、
というよりは這っている光景へと変貌を遂げた。
又、ここの住人は余所とくらべて心臓が強いのも特長の一つである。
路地を曲がった所でエイリアンと遭遇してもたじろがない、
散歩の途中でETに道を聞かれても笑顔で応えられるぐらいの肝っ玉がなければここでは暮らしていけないのである。
その結果住人はみな長生きである。
どうやら変化に富んだ環境がそのような住人を創り、
その住人が更に変化に富んだ街を創るという好循環ができているらしい。